中小企業診断士試験の財務会計に備えて、日商簿記2級を勉強すべき?

はじめに

中小企業診断士試験で重要な科目、結果を大きく左右する科目といえば、「財務会計」。一次試験にも二次試験にも出題される科目なので、試験への影響度は高いです。

ですが、簿記会計を初めて勉強する方にとっては、大変な科目。そんな難しい科目なので、「まずは、日商簿記2級を取得した方が良い!」と言われることもあります。

ですがこの話、実際どうなんでしょうか?

筆者としては、中小企業診断士試験のために、日商簿記2級を無理して勉強・取得しなくても良いと思います。もちろん、勉強しても良いです。マイナスではありません。ですが、「近年日商簿記2級で起きている、ある変化」を踏まえると、割に合わないなと思います。

それでは、中小企業診断士の「財務会計」と日商簿記2級の関係について見ていきましょう。

数年前まで、日商簿記2級を勉強するメリットはあった!

では、詳しく説明します。

実は、数年前までは、日商簿記2級を勉強することは、良い方法でした。一定の効果がありました。具体的には、以下のとおりです。

日商簿記2級を勉強するメリット

  • 「財務諸表とは?」を知っておくことは、非常に役立つ
  • 「簿記の仕組みとは?」を知っておくことも、非常に役立つ
  • 勘定科目の性質を知っておくも、非常に役立つ
  • 簿記初心者にもわかりやすいよう、イラストで解説してくれるテキストが多い
  • 中小企業診断士の財務会計とかぶる部分も多くあった

以上のため、中小企業診断士試験の財務会計と親和性が高く、相乗効果が見込めました。

実は、筆者が中小企業診断士試験を勉強を始めたとき、日商簿記2級を取得していたのですが、かなりスムーズに勉強できた記憶があります。

やはり、日商簿記2級を勉強することは、一つのマイルストーンとして、なかなか良い方法だったというわけです。

POINT

  • 数年前まで、日商簿記2級を勉強すれば良いことがたくさんあった!

ここ数年起きた「ある変化」のため、負担が増えた!

ですが、ここ数年、とある出来事が日商簿記検定界隈で起こり始めました。

それは、「出題範囲の改定」です。

日商簿記検定のホームページを見ると、以下のように記載されています。

日商簿記の出題範囲は、平成27年度に全面的な見直しを行い、28年度からの3年間で、段階的に改定することとしました。

今回の変更では、企業会計に関連する諸制度の変更への的確な対応にとどまらず、試験がより実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるように、IT化およびグローバル化の進展、ビジネス・スタイルの変化等を踏まえて、実務上の使用頻度が高く、より多くのビジネスパーソンに理解してほしい論点を出題範囲に追加するとともに、現在の実務ではあまり見かけない事項等については、範囲から削除するなど、出題内容の見直しを行っています。

日商簿記は、さらに社会で役立つ、評価される資格となります。

平成28年度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について」より引用

より時代に即した試験へ移行したということなんですね。

この改定の詳細は、下記リンクにまとめられています。

簿記検定試験出題区分表改定について、改定のポイントを説明しています。

そして、新たに2級の範囲となった改定項目のうち、影響が大きいものが以下です。

日商簿記2級に新たに追加された項目

  • リース取引
  • 連結会計
  • 外貨建取引

筆者としては、「中小企業診断士の財務会計からは離れてしまったかな?」と思います。一言で言うと、「オーバーワーク」です。実はこの、改定によって生まれたオーバーワークが、日商簿記2級を無理して取得する必要はない理由なんです。

考えてもみてください。中小企業診断士試験の財務会計分野において必要なこと。それは、一次試験の財務会計」と「二次試験の事例4」を解くこと。この2つだけです。

リース取引の仕訳がわかることも、連結で財務諸表つくることも、外貨建取引の計上も、ほとんど求められません。逆に、キャッシュフロー計算書、意思決定会計、経営指標の算出などは、毎回と言っていいほど求められます。

つまり、改定によって、中小企業診断士の財務会計と日商簿記2級の間で、ギャップが生まれてしまったのです。このギャップによって、日商簿記2級を勉強するメリットが薄れてしまったのです。

POINT

  • 改定によって、日商簿記2級を勉強するメリットが薄れてしまった

ただし、日商簿記2級の勉強自体は無意味ではない

ただし、誤解していただきたくないのは、今回改定されなかった論点、つまり今までの日商簿記2級の論点については、財務会計でも有効ということです。たとえば、勘定科目の位置づけであったり、決算のときにやること(決算整理仕訳)などです。

だから、すでに日商簿記2級に合格している人や、過去に勉強した人は、それはそれで有利なのです。それは、この記事に書いたとおりです。

日商簿記合格した後、そこで終わってしまう問題 知名度・人気ともにバツグンな日商簿記検定。 2級でも結構評価されますし、1級を持っ...

今回お伝えしたかったのは、あくまで「時間がない中、新たに日商簿記2級を勉強することや、片手間に日商簿記2級を受験するのは、時間的によくありませんよ!」ということ。そこはお間違えのないようにしてください。

POINT

  • 日商簿記2級は、簿記会計を理解する上で、今も有効!
  • ただし、改定で新たに追加された論点は、オーバーワークである

さいごに

今回は、中小企業診断士の財務会計と、日商簿記2級の関係についてでした!

結局、「改定で新たに追加された論点については、中小企業診断士試験とは方向性が違う」ということでした!

その点をご認識いただき、ご自身の時間や環境に合わせた方法で勉強していきましょう!

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