もくじ
はじめに
以前、「知っておくと得する!日商簿記検定3級と2級の「違い」」という記事で、日商簿記検定3級と2級の違いについて説明しました。
今回の記事は、この逆バージョンです。「日商簿記検定3級と違いがある」と思われがちな日商簿記検定2級ですが、実は「変わらないこと」もあります。この変わらないことを認識することを意識して勉強すれば、勉強の効率も増し、より効率的に勉強できます。
ぜひ、3級と2級で「変わること」と「変わらないこと」を把握して、より良い勉強を目指しましょう!
独学でも可能という点は変わらない!
まずは、データを見ていきましょう。次の表は、直近2年間(6回分)の3級と2級の受験者データです。
回 | 3級実受験者 | 3級合格者 | 3級合格率 | 2級実受験者 | 2級合格者 | 2級合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|
148(H30.2.25) | 78,243名 | 38,246名 | 48.9% | 48,533名 | 14,384名 | 29.6% |
147(H29.11.19) | 88,970名 | 35,868名 | 40.3% | 47,917名 | 10,171名 | 21.2% |
146(H29.6.11) | 80,227名 | 40,880名 | 50.9% | 43,767名 | 20,790名 | 47.5% |
145(H29.2.26) | 80,832名 | 38,289名 | 47.4% | 60,238名 | 15,075名 | 25.0% |
144(H28.11.20) | 94,411名 | 42,558名 | 45.1% | 56,530名 | 7,588名 | 13.4% |
143(H28.6.12) | 83,915名 | 28,705名 | 34.2% | 44,364名 | 11,424名 | 25.8% |
引用元:日本商工会議所「受験者データ」
データを見ると、合格率は3級のほうが15%程度高い傾向にあるようです。ただし、これは比較的最近の回に限ったデータですので、「合格率は3級のほうが少し高い」という程度に理解しておけば良いでしょう。
このように、合格率で見ると簿記2級のほうが低いです。ですが、それでも2級は「きちんと勉強すれば合格できる」、「独学でも合格できる」という試験です。理由は2つあります。
1つ目の理由は、高い合格率です。簿記3級に比べて低い合格率ですが、それでもおおむね25%程度の合格率はあります。これって意外と高いのです。他の資格試験ですと、平気で合格率7%とかあります。おおむね25%程度と高い合格率である簿記2級は、十分対応可能なのです。
2つ目の理由は、3級・2級ともに不合格にする試験ではないためです。世の中には、あらかじめ合格者の数がある程度決まっていて、得点調整をして上位XX%だけ合格させるという試験もあります。資格の価値や希少性を維持するためかもしれませんし、合格者を受け入れる側(XXX協会などの管轄組織)の都合かもしれません。
ですが、日商簿記検定3級・2級ともにそのような試験ではありません。通常、得点調整はされません。あくまで、「やるべきことをやった人は合格させる」という試験なのです。
以上を踏まえると、やはり日商簿記検定3級・2級ともに、独学でも合格可能な試験です。筆者も独学で合格できましたし、筆者のお友達もほとんどみんな独学です。どっちかと言うと、独学のほうが多いくらいです。
POINT
- 3級も2級も、独学で合格することができる!
勉強法は変わらない
実は、勉強法も変わりません。日商簿記検定の勉強法は、いたってシンプルです。
日商簿記検定の勉強法
- STEP1 合格体験談を読んで、試験について理解する
- STEP2 教科書を読んで、全体像を理解
- STEP3 問題集を2周やりきる
- STEP4 過去問題・模擬試験で実力を磨く
詳細については、以前紹介した「日商簿記3級とはどんな試験?独学できる?おすすめの勉強法は?」の「日商簿記検定3級・2級に合格するための勉強の流れ」をご確認ください。
POINT
- 「合格体験記→教科書→問題集→過去問題・模擬試験」という流れで勉強したらOK!
「自分の力で解けるようにする」という方向性は変わらない
資格試験において、ほとんどの場合初めて見る問題を解くことが求められます。もちろん、日商簿記検定3級も2級も同じです。
ですので、普段の勉強で、「自分の力で解けるようにする」という大きな方向性は変わりません。これは、商業簿記も工業簿記も同じです。
だから、問題集・過去問・模擬試験を解いて答えあわせをした時、「何も見ずに、自分の力だけで解答を再現できるか?」と自分に聞いてみるようにしましょう。結局、資格試験はこれの繰り返しです。
よくあるのが、答えを見て「なるほど〜」と理解しただけで満足してしまうこと。自分でできるようにならないと意味がないので、「自分で解答できるようにする」ということは、常に意識するようにしましょう。
POINT
- 何も見ずに、自分の力で解答できるようになることが、なによりも大事!
「仕訳が大切」という点は変わらない!
商業簿記において重要なことが「仕訳」ということは、2級になっても同じです。なぜなら、商業簿記の基本である大きな流れは変わらないためです。商業簿記の大きなは、以下のとおりです。
- ①仕訳(取引の記帳)
- ②集計
- ③財務諸表の作成
「①仕訳(取引の記帳)」→「②集計」→「③財務諸表の作成」という大きな流れは、3級と2級で変わりません。あくまで、①で記帳する取引の種類が増えたり、多少複雑になったりするだけなんです。
普段の勉強では、「いつ、どういう内容の仕訳を書くか」。これだけを意識して、徹底的に理解しましょう。仕訳がわからずして、日商簿記検定2級に合格することはありません。財務諸表の作成問題などは、仕訳の理解が一通り終わってからでも十分です。
「連結会計などの新しい論点はどうするの?」という質問が聞こえてきそうです。連結会計や外貨建取引などの新しい取引も、その基本は仕訳です。いつどういう取引が起きて、どういう仕訳を計上するかを考えるということは、変わりません。
POINT
- 仕訳の理解が大切ということは、2級でも同じ!
計算チェックの重要性も変わらない!
日商簿記検定では、計算ミスを防ぐ取り組みが重要です。当然ですが、これも3級と2級で変わることはありません。この計算チェックの方法は、「これで大丈夫!日商簿記検定を合格できる「計算チェック」のやり方とは?」という記事で紹介しています。
2級は、問題が複雑になるため、時間がシビアになります。電卓の操作も大きな差につながるので、ぜひここで紹介した計算チェック法を一読してみてください。この方法は、汎用的なテクニックで、試験の合格可能性を上げてくれる可能性がありますよ!
さいごに
「日商簿記検定3級と2級は結構違いがある」と言われます。たしかに、工業簿記の登場などのため事実ですが、変わらないこともたくさんあります。今回紹介した内容のポイントは、以下のとおり。
POINT
- 独学で合格することは可能!
- 勉強法の流れは同じ!
- 何も見ずに解答できることを目指す!
今回紹介した内容と、「知っておくと得する!日商簿記検定3級と2級の「違い」」の記事の内容をしっかり把握すれば、心配ありません。なんとかなります!
ぜひ、11月の試験を目指してがんばりましょう!